近江商人の哲学「たねや」に学ぶ商いの基本
満足度:7/10
筆者は山本昌仁(まさひと)氏
和洋菓子製造販売のたねやグループCEO。1969年滋賀県近江八幡市でたねや創業家の10代目として生まれる。19歳より10年間和菓子作りの修行を重ねる。25歳のとき全国菓子大博覧会にて「名誉総裁工芸文化賞」を最年少受賞。2002年、洋菓子のクラブハリエ社長、2011年たねや4代目を継承。2013年より現職。(本書の筆者紹介より)
個人的にクラブハリエのバームクーヘンが非常に好きで、そこの親会社?のたねやの社長が書いた本であるということで手に取って読んでみました。
以前は洋菓子のクラブハリエと和菓子のたねやが関係があるとは全く思ってもなく、知った時にはビックリしたのを思い出します。
最初の方はたねやの歴史の説明が中心。
個人的にビジネス関係や自己啓発が好きなので、読んでは他の本に目移りし、というのを少し繰り返してしまいました。
お菓子の説明の箇所で初めて知ったのですが、お菓子によっては人間の手で作るより機械で作る方が美味しくできるものがあるということ。
手で触るとどれだけ綺麗にしても雑菌が付いてしまうことがあり、機械でしか出せない味があり、また機械で作った方が賞味期限が長くなるお菓子があるというのは意外でした。機械=効率化のためという思い込みがあったので、良い気づきを得られました。
また、後半では社長の仕事に対する考え方が記載されており、ここは非常に面白く読み進められました。
特にお客様に見られているということは非常に大事であると。動作が美しく効率的に、人に見られていれば変なことは出来ないと。
自分はオフィスワーカーなので、常日頃から誰かに見られているということを意識せずに仕事をしてしまっている(特に上司の不在時など)ことがあるので、気をつけなければと思わされます。
【印象に残ったフレーズ等】
○店長会議というものを社長の代で中止に
忙しい人間が全国から集まって、愚痴大会をやる意味はない。
→自分の会社でも先週、偉い方が集まる会議があり、書記として同席しましたが、あまり生産的ではなく、高給取りの皆さんの時間を結構無駄にしているのでは。と感じたことを思い出しました。
○自分の後釜を育てるという箇所で
自分が倒れた時に代わりがいないようであれば、その人はリーダー失格。
自分の居場所がなくなるとか、変なサラリーマン根性を見せたらあかん。
→自分の会社も4月から組織再編がありましたが、その時にやれこの上司は嫌だの異動したくないだの文句を言っているベテランの方を思い出しました。老害。ぜひ読んで欲しい。
○伝統についての記述
伝統とは「続けること」続けるためには時代に合わせて変えるしかない。
伝統を守ることは変えること。
→自分の会社は古い会社であり、なかなか動きが早くないのかなと思うことがあります。業績も芳し くなく、スローガンのように時代に合わせて方法を変えていかなければということは会議の冒頭などで上層部が言いますが、言うだけで会社は何か積極的にしているのかと思ったりもします。
(もちろん自分もできることはしないといけませんが。)
クラブハリエのバームクーヘンが好きな人や滋賀にゆかりのある人おススメ。
「ラ コリーナ近江八幡」(たねやが運営している洋菓子店があるが、周りは広大な敷地に豊かな自然があり、滋賀県の一大観光スポットです。)に行ってみたくなります。