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紋切型社会

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満足度 9/10

 

作者について

武田砂鉄 氏

1982年、東京生まれ。大学卒業後、出版社勤務を経てライターに。2015年、初の著書「紋切型社会」でBunkamura ドゥマゴ文学賞を受賞。ほかの作品に「芸能人寛容論 テレビの中のわだかまり」「コンプレックス文化論」「日本の気配」などがある。(著書より抜粋)

 

この方の本を読むのは初めてでしたが、文庫本が書店に平積みで置いてあったので何気なく手に取り読んでみると個人的にかなり当たりの1冊でした。

こういう偶然があるので、実店舗の書店というのは好きです。

(どうしてもKindle等の電子書籍では過去に購入したものからあなたはこれが好きでしょう、と似た傾向の書籍がおススメ欄に出てきて、大きく外れはないかもしれませんが。)

 

内容としては社会的なテーマに対して筆者の思いが1章から21章まで短くまとめられています。

隙間時間の読書にも良いのかなと思います。

 

個人的に筆者の考えかたに全面的に賛成できるわけでないですが(どちらかというと政治的に左寄り?)、文体や言い回しが非常に個人的に好みで他の本も読んでみたいと思えるものでした。

こんな風に物事を捉えるんだと思えるようなことも多々あり、非常にためになりました。

(特に何かの知識が得られるというような本ではないので、注意です。)

 

【印象に残ったフレーズや指摘等】

○日テレのクラブで働いていた内定者の内定取消しに対して

 清廉性にふさわしくないとの理由で取消しをしたが、日テレが毎年放送している24時間テレビを「障害者に働いてもらうと数字が安定するとシャブ中毒のように常習することほど、心が淀んでいて私欲が噴出しているということもなかろう」と批判。

 

○「ゼクシィ」掲載されている花嫁の手紙のサンプルに対して

 あらかじめストックされている言葉をサラダバー的に調合してベルトコンベアーに流すように自分だけの花嫁の手紙は量産。

 

○政権は「面倒だしやっぱり育児は女性がやってよ」という内心を「3年間抱っこし放題」と名訳

 

○2020年の東京オリンピックに期待することのアンケートへの回答で「国民に夢や希望を与える」がもっとも多かったことに対して

夢や目標はいつから国から国民への配給制になったのか

 

○若い人は「本当の貧しさを知らない」といって批判することに対して

「本当の貧しさを知らない」の連日連夜の登板。球種が一つしかない分、肩を痛めずに連投が可能となるのだろうか。

 

○「WinーWin」の陰には確実に「Lose」がある。

 

他にもたくさんありますが、際限がなくなるので、ここらへんでやめておきます。